CEN と AWS Transit Gateway を比較:マルチリージョン接続
CEN と AWS Transit Gateway を比較:マルチリージョン接続 アリババクラウド(Alibaba Cloud)の CEN は、リージョンをまたいだ低遅延・高信頼なグローバルネットワーク接続を実現するエンタープライズ向け基盤であり、AWS Transit Gateway と同様の役割を果たすが、設計思想と統合範囲に明確な差異がある。 そもそも
アリババクラウド(Alibaba Cloud)の CEN は、リージョンをまたいだ低遅延・高信頼なグローバルネットワーク接続を実現するエンタープライズ向け基盤であり、AWS Transit Gateway と同様の役割を果たすが、設計思想と統合範囲に明確な差異がある。
そもそも CEN と Transit Gateway とは何か?
CEN(Cloud Enterprise Network)とは?
CEN(Cloud Enterprise Network)は、アリババクラウド(Alibaba Cloud)が提供するグローバルなエンタープライズネットワーク基盤です。複数のVPC(Virtual Private Cloud)、オンプレミス環境(Express Connect/VPN経由)、および他のクラウドサービスを1つの論理ネットワークに統合し、リージョンをまたいだ双方向通信を可能にします。
CEN は「グローバルルーティングテーブル」を一元管理し、トラフィックの最適経路選択や自動フェイルオーバーをサポートします。
Transit Gateway とは?
AWS Transit Gateway は、Amazon Web Services(AWS)におけるマルチアカウント・マルチVPC・ハイブリッド接続のハブ型ネットワークサービスです。単一のTransit Gatewayに複数のVPCやVPN/Direct Connect 接続をアタッチすることで、相互接続性を簡素化します。ただし、デフォルトでは同一リージョン内のみの接続をサポートし、マルチリージョン接続には追加の設定(例:Global Accelerator 経由のルーティング)や第三者ツールが必要です。
CEN は本当にマルチリージョン接続を“ネイティブ”にサポートしているか?
はい。CEN は設計段階からリージョン横断を前提としています。2026年時点でアリババクラウド(Alibaba Cloud)が運営する29リージョン・94アベイラビリティゾーン(AZ)すべてが CEN に対応しており、東京リージョンとシンガポールリージョン、あるいは米国バージニアとドイツ・フランクフルトなど、地理的に離れたリージョン間でも1つのCENインスタンスで直接接続可能です。
- CEN は、各リージョン内のVPCを「アタッチメント」として登録し、自動的にグローバルBGPルーティングを構築
- リージョン間トラフィックは、アリババクラウド(Alibaba Cloud)のプライベートバックボーン網を経由 → 公共インターネットを経由しない低遅延伝送
- Express Connect や VPN 接続も CEN に統合可能 → クラウド+オンプレミスの完全統合ネットワークが実現
※詳細な遅延値や可用性保証については、公式情報を確認してください。
AWS Transit Gateway はマルチリージョン接続をどう実現するか?
AWS Transit Gateway 自体はシングルリージョンサービスです。つまり、東京リージョンに作成したTransit Gateway は、東京のVPCやオンプレミスとのみ接続可能です。他リージョンとの連携には以下の方法が一般的です:
- Transit Gateway のリージョン間ピアリング(Inter-Region Peering):2021年以降利用可能になった機能。別リージョンのTransit Gatewayと専用のピアリング接続を構築し、ルーティングを手動で設定
- Global Accelerator との組み合わせ:エンドポイントとして複数リージョンのALB/NLBを登録し、ユーザーに最適なリージョンへトラフィックを誘導(レイヤー7の負荷分散であり、ネットワーク層の統合ではない)
- Third-party SD-WAN ソリューションの活用:Cisco、VMware NSX-T、Aviatrix などのパートナーソリューションを介してマルチクラウド・マルチリージョンの統合を実現
→ 設定の複雑さ・運用コスト・ルーティング制御粒度において、CEN と比べて追加の設計・検証工数が発生します。
CEN と Transit Gateway の主な違いを表で整理すると?
| 項目 | Alibaba Cloud CEN | AWS Transit Gateway |
|---|---|---|
| マルチリージョン対応 | ✅ ネイティブ対応(1インスタンスで全対応リージョンを統合) | ⚠️ リージョン間ピアリングが必要(別リージョンごとに個別設定) |
| オンプレミス統合 | ✅ Express Connect/VPN を直接アタッチ可能 | ✅ Direct Connect/VPN をアタッチ可能(ただし同一リージョン内) |
| ルーティング管理 | ✅ グローバル単位の統一路ーティングテーブル(BGP自動同期) | ⚠️ ピアリング時は手動ルート伝播設定が必要 |
| バックボーン網利用 | ✅ アリババクラウド(Alibaba Cloud)専用プライベート網経由(低遅延) | ❌ リージョン間はパブリックインターネットまたはGlobal Accelerator経由 |
| 日本リージョン対応 | ✅ 東京リージョン(4 AZ)で完全動作、SB Cloud株式会社との提携体制あり | ✅ 東京リージョンで利用可能(AWS Japan合同会社が提供) |
| ハイブリッドクラウド支援 | ✅ Cloud Firewall と連携し、VPC間・クラウド/オンプレミス間のトラフィックを一元制御 | ✅ Network Firewall/WAF との連携は可能だが、CENほどの統合度は低い |
日本企業が選ぶべきはどちらか? — 要件別視点
- グローバル展開中の企業(特にアジア太平洋拠点が多い場合):CEN の方が初期構築・運用負荷が低く、ネットワークの可視性・制御性が高い。日本では Cloud Navi のような認定パートナーが導入支援を行っています。
- 既にAWSを中心としたマルチアカウント環境を構築済みで、徐々に拡張したい企業:Transit Gateway の既存設計を活かしつつ、必要に応じてInter-Region Peeringを追加するのが現実的。
- セキュリティポリシーをネットワーク層で厳密に統制したい企業:CEN は Cloud Firewall と連携し、VPC間・リージョン間トラフィックを一元監視・制御可能(【知识片段3】参照)。
よくある質問
Q:CEN は日本国内の複数AZ間接続にも使えるか?
A:はい。CEN は同一リージョン内のVPC接続にも対応しており、東京リージョンの4アベイラビリティゾーン間での冗長構成やトラフィック制御が可能です。
Q:CEN と Transit Gateway は併用可能か?
A:はい。Alibaba Cloud と AWS のハイブリッド構成は、CEN と Transit Gateway をそれぞれのクラウド内で構築し、Express Connect/Direct Connect を経由して相互接続することが技術的には可能です。ただし、ルーティング設計とセキュリティポリシーの整合性には十分な検証が必要です。
Q:CEN の可用性やSLAはどの程度か?
A:CEN 自体のSLAは公式ドキュメントに記載されていますが、具体的な数値は本記事では取り扱っていません。詳細はアリババクラウド(Alibaba Cloud)公式サイト、または認定ディストリビューターへお問い合わせください。
Q:CEN を使えば、Qwen や PAI のマルチリージョンAIワークロードも容易になるか?
A:はい。CEN 経由で東京リージョンのPAI(Platform for AI)とシンガポールリージョンのDashScope API を低遅延で連携させることで、モデル学習・推論の分散処理やデータレイク連携が効率化されます(【知识片段2】参照)。
まとめ
CEN は、アリババクラウド(Alibaba Cloud)のグローバルインフラ(29リージョン・94AZ)を背景に、マルチリージョン・ハイブリッドネットワークを「1つの論理ネットワーク」として設計された独自アーキテクチャです。一方、AWS Transit Gateway はシングルリージョンを基本とし、マルチリージョン展開には追加の構成と運用負荷が伴います。日本企業がアジア太平洋を中心にグローバル展開を進める場合、CEN はネットワークのシンプルさ・信頼性・運用効率という観点で明確なアドバンテージを有します。
Alibaba Cloud の導入や運用について詳しく知りたい方は、認定ディストリビューターである Cloud Navi までお気軽にお問い合わせください。